井上凛子の医学帳

井上凛子の医学勉強をまとめていきます

アルツハイマー型認知症ってなに?

凛子です。

病気紹介その1です。

アルツハイマー病って皆さんよく聞きますよね?

どんな病気なのか、あまりよくわかってない人も多いのでまとめたいと思います。

 

【病態生理】

まず正常な神経細胞っていうのは、細胞体と軸索によって出来ています。

ヨーヨーを想像してみて、丸いのが細胞体、ひもが軸索です。

そして、細胞体にτ(タウ)蛋白という物質があります。これは軸索の細胞骨格の安定化に関わっています。ヨーヨーのひもの強化ですね。

 

では異常はどうでしょうか。

①細胞体に変な蛋白であるΑβ(アルファベータ)蛋白がたくさん現れる。

②このΑβ蛋白が一定数以上たまると、τ蛋白を変性させて異常τ蛋白が産生。

③τ蛋白が変性しちゃうので、細胞骨格が不安定になり軸索破壊が起こる。

 

軸索がやられてしまうと、神経の繋がる場所でのアセチルコリン(伝達物質)の放出量が少なくなります。これにより、色々な障害が出てきてしまいます。

 

でもこれ、腕とかに起こったら記憶とかに関係しないですよね。

実はこの変性、脳の海馬で最初に起こりやすいんです。

海馬とは、短期記憶の要所。最近のことからどんどん忘れていきます。

ちなみに、よく聞く記銘力低下とはこの最近のことを覚えられないことを言います。

 

ついでに、この変性はマイネル基底核にも影響してきます。

マイネル神経核意欲に関する機能を持ち合わせています。

意欲低下って、介護者への抵抗で顕現してくるんですよね。これは殴ったりとかではなく、何もしない方の抵抗です。なんもしてくれなくなります。

 

初期症状:意欲低下+短期記憶障害(記銘力低下)

 

この後は取り繕い(症状を隠す)だったり、物盗られ妄想(自分がなくしたものを他人のせいにする)が起こってきます。

 

【治療】

軸索の破壊は阻止できないので、アセチルコリンを減らさないことに尽力するのがアルツハイマー認知症の治療です。

つまり...

治らない疾患なのです。

アセチルコリンを減らさないために、

ドネペジル→アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを阻害することでアセチルコリンの量を保つ薬

メマンチン→NMDA受容体拮抗薬(難しいので説明を省きます)

などを使っていきます。

 

以上になります。

アルツハイマー認知症がどんな病気なのか、大体わかってくれたかなと思います。

またお会いしましょう。